ASE on your local PC

2025年7月11日 更新 v1.4.2

ASEは様々なコードのインターフェースを提供しているPythonライブラリであり, Pure Python EMT calculatorというシンプルなEMTの計算も実行できる.CrySPYさえインストールしてあれば,精度はともかく簡単に計算できるので,CrySPYのテストにちょうど良い.

このチュートリアルでは,MacやLinuxなどのOSのローカルPCを用いてCu 8原子の構造探索を試す.

Assumption

ここでは次のような条件を想定している:

  • CrySPY 1.2.0 or later in your local PC
  • CrySPY job filename: job_cryspy
  • ase input filename: ase_in.py

Input files

どこか適当なワーキングディレクトリに移動して,まずはexampleをコピーしてくる.下記のどちらからコピーしてきても良い.

cd ase_Cu8_RS
tree
.
├── calc_in
│   ├── ase_in.py
│   └── job_cryspy
└── cryspy.in

cryspy.in

cryspy.inはCrySPYの入力ファイル.

[basic]
algo = RS
calc_code = ASE
tot_struc = 5
nstage = 1
njob = 5
jobcmd = zsh
jobfile = job_cryspy

[structure]
atype = Cu
nat = 8

[ASE]
ase_python = ase_in.py

[option]

[basic] セクションのjobcmd = zshは環境に合わせてjobcmd = shjobcmd = bash等に変更する. CrySPYは内部でバックグラウンドジョブとしてzsh job_cryspyを実行する.

ASEを使う場合は,[ASE]セクションが必要. 下記の二つのファイル名は好きなように変えても良い.

  • jobfile: job_cryspy
  • ase_python: ase_in.py

他の入力変数については後で説明を行う.

calc_in directory

ASEのジョブファイルや入力ファイルはこのディレクトリに準備する.

Job file

ジョブファイルの名前はcryspy.injobfileに一致させる必要がある. ジョブファイルの例は下記の通り.

#!/bin/sh

# ---------- ASE
python3 ase_in.py

ase_in.pyというファイル名も自由に変えられるが, cryspy.inase_pythonの値と一致させておく必要がある. CrySPYではジョブファイルの最後の行はsed -i -e ‘3 s/^.*$/done/’ stat_jobとしておくルールになっている. バージョン1.4.2からCrySPYがジョブファイルの末尾に自動的に下記を追記するようになった.(参考:機能 > ジョブファイルの自動書き換え

# ---------- CrySPY
sed -i -e '3s/^sub.*/done/' stat_job
メモ

1.4.2より古いバージョンでは,ジョブファイルの最後の行はsed -i -e '3s/^sub.*/done/' stat_jobと書いておくルールになっている.自分でsedコマンド文を書いたジョブファイルを1.4.2以上のバージョンで使用しても2回実行されるだけなので問題はない.
上記sedコマンドの意味は,stat_jobというファイルの3行目のsubから始まる部分をdoneに変える処理.

ヒント

(詳細:機能 > ジョブファイルの自動書き換え
CrySPYのジョブファイルのCrySPY_IDという文字列は自動的に構造IDに置き換わるようになっている. PBSやSLURMといったジョブスケジューラーを使う場合,ジョブ名にCrySPY_IDと書いておくとどの構造のジョブなのかが分かり便利である. 例えば,PBSでは#PBS -N Si_CrySPY_IDのように書いておくと,ジョブをサブミットする際,#PBS -N Si_10のように置き換わる. 注意点として,ジョブ名を数字から始めるとエラーとなることが多いので,Si_のように何か文字列を頭につけておくこと.

Input for ASE

ステージ数(nstage in cryspy.in)に応じた数のインプットファイルが必要となる. インプットファイル名の先頭にx_,または語尾に_xをつけて準備する. ここでxはステージ数.

CrySPYが探すインプットファイル名の優先順位は以下の通り.

  1. x_ase_in.py
  2. ase_in.py_x
  3. ase_in.py

各ステージで共通のインプットを使用するのであればx__xを省略できる.

このASEのチュートリアルではnstage = 1を用いるので,ASEのインプットファイルはase_in.pyの一つだけでよい.x__xを省略したファイルを準備している. ase_in.pyは例えば下記の通り(ASEの使い方の詳細は公式のドキュメントを見ること).

from ase.constraints import FixSymmetry
from ase.filters import FrechetCellFilter
from ase.calculators.emt import EMT
from ase.optimize import BFGS
from ase.io import read, write

# ---------- input structure
# CrySPY outputs 'POSCAR' as an input file in work/xxxxxx directory
atoms = read('POSCAR', format='vasp')

# ---------- setting and run
atoms.calc = EMT()
atoms.set_constraint([FixSymmetry(atoms)])
cell_filter = FrechetCellFilter(atoms, hydrostatic_strain=False)
opt = BFGS(cell_filter)

# ---------- run
converged = opt.run(fmax=0.01, steps=2000)

# ---------- rule in ASE interface
# output file for energy: 'log.tote' in eV/cell
#                         CrySPY reads the last line of 'log.tote' file
# outimized structure: 'CONTCAR' file in vasp format
# check_opt: 'out_check_opt' file ('done' or 'not yet')
#                         CrySPY reads the last line of 'out_check_opt' file

# ------ energy
e = cell_filter.atoms.get_total_energy()    # eV/cell
with open('log.tote', mode='w') as f:
    f.write(str(e))

# ------ struc
opt_atoms = cell_filter.atoms.copy()
opt_atoms.set_constraint(None)    # remove constraint for pymatgen
write('CONTCAR', opt_atoms, format='vasp', direct=True)

# ------ check_opt
with open('out_check_opt', mode='w') as f:
    if converged:
        f.write('done\n')
    else:
        f.write('not yet\n')

ASEはVASPやQEなどと違って,入力ファイル(python script)は自分で書くことになるので自由度がある. CrySPYでは3つのルールを設けている.

  1. エネルギーはeV/cellの単位でlog.toteというファイルに出力する.CrySPYはこのファイルの最後の行を読む.
  2. 最適化後の構造データはCONTCARというファイルにVASPフォーマットで出力する.
  3. 最適化の収束判定結果をout_check_optというファイルにdonenot_yetで書き込む.CrySPYはこのファイルの最後の行を読む.

CrySPY実行

ここまで準備ができたらCrySPY実行へ進む.